消費者問題としての自己啓発セミナー
     

自己啓発セミナー契約・勧誘トラブル
対処・対策支援サイト

Since 2005/08/12 更新:2006/5/21(履歴
作成:mamma


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●ブラインド勧誘

○ケーズ1
  ある土曜日の午前中、会社員の山田さんは自宅のベッドで寝ていました。久々の休みでゆっくり寝ていたかったのですが、電話の呼び出し音で起こされました。電話の主は大学時代の友人、田中さんでした。

  山「なんだ、田中かよ。こんなに早い時間にどうしたんだよ?」
  田「早いって、もう11時だぜ」
  山「ここんとこ、仕事が忙しくてさ・・・。やっとゆっくり休めるんだよ」
  田「そうか、大変だな。ところで、今日の夜は時間あいてるか?」
  山「あぁ、別に予定もないけど・・・。また飲みに行こうってお誘い?」
  田「うん。最近一緒に飲んでないだろ。たまにはどうだ?」
  山「そうだな。じゃあ行くか」
  田「じゃあ、いつもの店に7時な」

  山田さんと田中さんは、大学を卒業してからもよく一緒に飲み行く仲なのです。
  今回も、いつものように飲みに行く誘いだと思った山田さんは、何の疑問を持たずに、いつも2人で飲む居酒屋に行きました。
  居酒屋では、いつものように2人で馬鹿話をしていたのですが、飲み始めてから1時間ほど過ぎた頃・・・

  田「なあ、お前、自分の将来の事とか考えた事ある?」

  と、真剣な顔で話し始めました。

  田「実は俺、今、自分の将来にとっても為になる勉強をしてるんだ」
  山「へー、資格でも取るのか?」
  田「いや、そういうのじゃなくて。なんて言うのかな・・・本来の自分のあるべき姿を見つけるとか、より良い生き方を学ぶとか、そういうものなんだ」
  山「よく、わかんないな。変な宗教にでもはまったんじゃないだろうな?」
  田「そんなアヤシイものじゃないよ。○○っていうセミナーなんだけど、これを受けてから仕事に対しても前向きに取り組めるようになったし、毎日が充実して楽しいんだよ」
  山「そんなに良いのか」
  田「うん。それでな、お前、よく仕事の愚痴言うだろ?お前もこれを受けてみたら良いんじゃないかって思うんだよな」
  山「いや、いきなりそんな事言われたってわかんないよ」
  田「パンフあるから見てみろよ」
  山「結構ちゃんとしたところっぽいな」
  田「だろ?どうだ受けてみないか?今、契約書も持ってるから申し込んじゃえよ」
  山「え!?今かよ」
  田「こういうのは、思い立った時に行動するのが一番なんだよ。それに、俺はお前と一緒に成長したいんだ」
  山「お前がそこまでいうなら、やってみるか」

  山田さんは田中さんの真剣さに負けて契約書にサインをしてしまいました。


  さて、ここからが本題。「こんなんで簡単に勧誘されるかよ!」と思った人もいると思います。今回はブラインド勧誘の説明なので勧誘部分は大幅にはしょりました。
  ブラインド勧誘とは、契約の締結や販売目的を隠して呼び出す行為を言います。
  今回のケースの場合、田中さんはセミナーの勧誘が目的であることを隠して山田さんを飲みに誘っていますね。
  次のようなケースもブラインド勧誘になります。

○ケース2
  今年の春に大学生になったばかりの花子さんは、渋谷にショッピングに出かけました。地方から上京してきた花子さんはまだ友達が少ないので1人でショッピングです。
  109の前を歩いていると、同じ歳くらいの女の子から声をかけられました。名前は菊子さんです。

  菊「ねぇねぇ、その服かわいいね。どこで買ったの?」

  一番のお気に入りの服を褒められた花子さんは、突然知らない女の子から声をかけられたことに戸惑いながらも、ちょっと嬉しいようです。

  花「ありがとう。△△ってショップだよ」
  菊「あそこかぁ。あのショップ、かわいい服多いよね」
  花「うん。私は渋谷に来たら絶対に行くんだ」

  フレンドリーに話しかける菊子さんに、花子さんは警戒心が薄れてきます。なんだか、いきいきしていてファッションのセンスも良い菊子さんに、憧れのような気持ちも抱いているようです。

  菊「近くにおしゃれなカフェがあるんだけど、そこでもう少し話さない?」
  花「いいよ」

  既に警戒心の無くなった花子さんは一緒におしゃれなカフェに行く事に・・・
  カフェでは学校の事や趣味、将来の夢など、2人で話しました。

  菊「花子ちゃんて私と趣味も合うみたいだしかわいいね」
  花「そんな事無いよ、菊子ちゃんの方がかわいいって」
  菊「今度、一緒に遊ぼうよ。友達になろ!」
  花「うん」

  東京に来て、初めての学校以外の友達ができた花子さんは大喜びです。その日は、2人で携帯電話とメールアドレスを交換して別れました。
  それから数日は、電話やメールでとりとめの無い話をして楽しくすごしました。
  渋谷で声をかけられた日から1週間程して、2人の都合が合うので一緒に行ったカフェで会うことになりました。

  菊「花子ちゃんは就職の事とかちゃんと考えてる?」
  花「う〜ん、まだ大学に入ったばかりだし何にも考えてないよ」
  菊「それじゃダメだよ。いまから目標を持って行動しないとすごく大変になっちゃうよ」
  花「そうなのかな・・・?」
  菊「そうなの!私もそう思って、今、一生懸命自分を磨いているんだ」
  花「へぇ。菊子ちゃんがいつもいきいきしているのはそういう事なんだね」
  菊「花子ちゃんもそうなりたいと思わない?」
  花「なりたいな」
  菊「じゃあ、はなこちゃんも私がやってるセミナー受けてみない?」
  花「セミナーって何?」
  菊「セミナーっていっても、私たちくらいの歳の女の子ばっかりでサークルみたいで楽しみながら成長できるんだよ」
  花「面白そうだね。やってみようかな」
  菊「じゃあ、近くにセミナーの事務所があるからそこで申込みしちゃお!」
  花「うん」

  花子さんは、菊子さんに事務所に連れて行かれて契約書にサインをしてしまいました。



  「なんだ、山田さんと同じじゃないか」と思ったあなた。半分正解です。このケースのポイントは最初の遭遇時にあります。
  菊子さんは花子さんと友達になるために近づいたのではありません。セミナーに勧誘するのが目的で近づいているのです。最初からセミナー勧誘が目的ならば、初めて声をかけた時にセミナー勧誘である旨を伝えなければいけません。そうしなければ、ブラインド勧誘であり、違法行為になります。

 では、ブラインド勧誘を禁止した法律の条文を見てみましょう。
■特定商取引に関する法律第六条第四項
  販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。